1.変わる外部評価
近年医療介護領域において、様々な外部評価が要求されつつあります。今回はその中の一つ、医療機関の臨床に入り込む病院機能評価についてお伝えいたします。
そもそも病院機能評価とは、約20年前に病院機能そのものを監査する目的で運用が開始された第三者評価機能です。その後6回の改定を経て、2015年4月から現在の形となっています。
この直近の改定により評価項目の表示方法が大きく変わり、以前の評価基準小項目をまとめて中項目とし、ひとつひとつを評価する方式ではなくなりました。しかしながら中項目での要求事項は、従前の小項目に該当する部分をクリアする必要があるので、求められる事柄の範囲はあまり変更がないといえます。
しかしながら本審査においては大きな違いがあります。今までの機能評価で整備されてきた規程や基準が整備されていることを踏まえ、これらが実践されているかが問われます。ですから規程や基準などは当然更新されていることが前提となりますし、それを基に普段からの病棟業務に臨んでいることが求められるといってよいでしょう。まさに病棟業務の標準化がきちんと担保されているか、日ごろの努力を表現する機会とも言えます。
2.受審に当たって考慮すべきこと
上記を念頭に置き病院機能評価の導入や更新を考える際には、メリットとデメリットを比較する必要があるので、簡単にですが整理してみましょう。
メリット
・様々な施設基準の算定に有利に働く
緩和ケア病棟入院料(がん拠点病院を除く)
緩和ケア診療加算 (がん拠点病院を除く)
感染防止対策加算1・2
総合入院体制加算1・2
患者サポート体制充実加算
・病院の優れている点、改善点の明確化
デメリット
・経済的な負担
・受審準備のための工数増加
3.まとめ
病院の規模や特色にもよりますが、病院機能評価の審査を通過することによっての経済的なメリットはそれほど大きいとはいえません。しかしながら病院機能の客観的な評価と改善、並びに質の担保という意味では、一通りチェックし改善できるよい機会となります。既に一通り整備されている医療機関はその維持のため。まだ未受審であれば一定のレベルまで引き上げるためにツールとして用いることは意義のあることであると考えます。なるべくデメリットとなる受審準備のための工数増加を抑えるためには、受審が終わった段階をゴールとせず、日常の業務行為として継続することが望ましいです。また自医療機関に求められる機能とレベルも適切に把握する必要があります。
現段階の病院機能評価制度は従前と異なり、病院の機能や規模にある程度準じた評価方法に改定されてきており、中小規模の病院にとって少し身近な基準となってきております。メリットとデメリット、目的を明確にした上で一度受審を検討することが望ましいでしょう。
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